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結論から書け、と今日も学んだ
今朝、SDS法を学んでいた。
最初に要点を言う。次に理由や具体例を並べる。最後にもう一度、要点で締める。それだけの型だ。読む人が迷わない。単純で、強い。
学びながら、ふと思った。文章の型を知っている人間は、文章で人を傷つける方法も知っているんじゃないか。そういえば、そんな人がいる本があった。『作家刑事毒島』。聴いたのは、この本だ。
新人賞の選考に関わる編集者が、殺された
事件は、新人賞の選考に関わった編集者の刺殺死体から始まる。
容疑者に浮かぶのは、三人の作家志望者。賞を取りたかった人たち。でも捜査は難航する。
そこへ現れるのが、毒島真理。人気ミステリ作家で、刑事技能指導員。作家なのに、刑事の側にいる。この組み合わせだけで、もう聴きたくなった。新人刑事の高千穂明日香が、この人に振り回される。いや、助けられる。どっちなのかは、聴く人の楽しみにしておく。
書く人間を、書く人間が追う
この本の芯は、「書くこと」への執着だと思う。
作家になりたい。認められたい。その気持ちは、きれいなものだけじゃない。毒島という人は、作家だからこそ、その気持ちの底まで見えてしまうのだと思う。作家を追うのは、作家。刑事ではなく、書く側の目で。そこが面白い。
今日学んだSDS法は、読む人のための型だった。迷わせないための型。でも書く側には、型では収まらないものがある。伝えたい。認められたい。報われたい。その熱が、ときどき別の方向へ流れる。そんなことを考えながら聴いていた。
仕事で文章を書く日が続くと、読まれるかどうかばかり気になる。この本は、その気持ちの裏側を、ミステリの形で見せてくる。
三人の声で聴く
ナレーションは、立木文彦さん、千葉進歩さん、中尾衣里さんの三人。
一冊を複数の声で聴くのは、独特の体験だった。声が変わるたびに、場面の空気が変わる。紙で読むとき、頭の中で作る声は一つだ。耳で聴くと、他人の声が入ってくる。その分、人物が自分から少し離れて立つ。
とくに毒島のような癖のある人物は、声の温度で印象が決まる。ページをめくる手を止めずに、声のほうが先に進んでいく。通勤や家事の最中でも、事件の筋が頭に残った。
聴き終えて、残ったもの
聴き終えて、まず思ったのは、書くことの怖さと、それでも書きたい気持ちだった。
どんなふうに事件が決着するのか。誰が、なぜ。ここには書かない。どう繋がるかは、聴く人の楽しみだ。
SDSでいえば、結論はこう。この本は、書く人間の業を描いた、ミステリだ。理由は上に書いたとおり。そしてもう一度、結論。書くことに少しでも関わっている人なら、耳で聴いてみてほしい。明日の文章に向かう背中が、ほんの少し変わる気がする。