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「誰かがやるだろう」を学んだ日
今日、リンゲルマン効果というものを学んでいた。社会的手抜き、とも呼ばれる。人数が増えると、ひとり当たりの力が下がっていく。綱引きでも、仕事でも。大勢いると、つい思う。誰かがやるだろう、と。
読みながら、うなずいた。身に覚えがある。人が多い場所ほど、動くのが遅くなる。自分ひとりなら動くのに。
そして、ふと浮かんだ。そういえば、この本。人が集まった場所で、死体が見つかる話だ。『星くずの殺人』。
宇宙ホテルに着いた途端
舞台は宇宙。3000万円の完全民間宇宙旅行のモニターツアー。参加者は念願の宇宙ホテル「星くず」にたどり着く。着いた途端、死体が見つかる。しかも無重力空間で、首吊り状態。
設定を聞いただけで、もう落ち着かない。逃げ場がない。地球には戻れない。いわゆるクローズドサークル、というやつだ。
ここで書けるのはここまで。誰が、どうして、どう繋がるのか。それは聴く人の楽しみに取っておく。
閉ざされた輪の中で、人は動くのか
リンゲルマン効果と、この本を無理に結びつけるつもりはない。ただ、頭の片隅に残った。
閉ざされた場所に、複数の人間がいる。全員が同じ異変を見ている。そのとき、人はどう動くのか。動く人。動かない人。動いたふりをする人。
本の中で実際に何が起きるかは、書かない。ただ、人が集まるほど見えなくなるものがある。その感覚を持ったまま聴くと、ひとつひとつの会話が、少し違って聞こえた。
耳で聴く無重力
オーディブルでは、ナレーターは池添朋文さん。本を目で追うのとは違う。声が、順番にしか来ない。先を覗けない。
ミステリーを聴くと、これが効く。手がかりを、前後のページで見比べられない。だから一言ずつ、ちゃんと聴く。聞き逃したくなくて、自然と集中する。
夜、部屋の灯りを落として聴いた。自分の部屋がだんだん、遠い星の中みたいになる。眠れない夜に、わりと向いている。寝る気がなくなるけれど。
聴き終えて残るもの
聴き終えて思った。誰かがやるだろう、と待つのはやめよう。小さなことでいい。気づいたら、自分から声を出す。
ミステリーを聴いて、そんな当たり前のことを考えるとは思わなかった。でも、そういうものだと思う。
謎解きの面白さ。閉ざされた宇宙の息苦しさ。その両方を、耳だけで味わえる一冊だった。気になった人は、まず最初の数分だけでも、聴いてみてほしい。