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原因を、どこに置くか
今朝、帰属理論を学んでいた。
人は、相手の行動や失敗の原因を解釈する。あの人が遅刻したのは、だらしない人だから。それとも、電車が止まっていたから。前者は人柄に原因を置く見方。後者は状況に置く見方。ざっくり言えばそういう話だ。
読みながら、思った。ミステリって、これの連続だよな、と。誰がやったのか。なぜそうしたのか。人柄か、状況か。その原因探しを、物語の形にしたのがミステリだ。そこで思い出したのが、この本だった。
夢見る探偵事務所
「探偵小石は恋しない」。著者は森バジル。
小石探偵事務所の代表、小石。ミステリオタクで、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ている。
夢見ている。ここがいい。もう名探偵、ではない。まだ、なのだ。憧れと現実のあいだで、ちょっと背伸びしている。その感じが、聴きはじめてすぐ伝わってくる。
あらすじには「ネタバレ厳禁」とある。だから私も、中身には踏み込まない。どう転がっていくかは、聴く人の楽しみにとっておく。
この本の芯は、「見立て」の面白さだと思った
謎解きの面白さって、結局、人をどう見立てるかだと思う。
この人はこういう人だろう、と決めつける。決めつけたところに、ずれが出る。そのずれに気づく瞬間が、気持ちいい。
学んだばかりの話に引きつければ、人は相手の行動を、状況より人柄で説明しがちだという。そういう癖がある、と。だとしたら、ミステリを読む私たちは、その癖と一緒に推理していることになる。
この本でそれがどう効いてくるのか。それも、ここでは書かない。ただ、自分の見立てを疑う気持ちで聴くと、楽しさが一段増す気がする。
声で聴くと、疑う余裕が生まれる
ナレーターは住谷哲栄。
ミステリを耳で聴くのは、紙で読むのと少しちがう。ページを戻って確かめられない。だから、一度聴いたことを、頭の中に置いたまま進む。
声の調子や、間。そこに、つい耳が引っかかる。引っかかった自分を、あとから振り返る。この往復が面白い。
通勤でも、家事の途中でもいい。手が塞がっていても、推理はできる。耳だけで謎に付き合う時間は、思ったより贅沢だった。
聴き終えて残ったもの
聴き終えて、まず思ったのは、自分の決めつけが気になりはじめた、ということ。
誰かの行動を見て、すぐ「そういう人だから」と片づけていないか。状況を見ようとしているか。物語の中の謎より、日常の小さな謎のほうに、目が向くようになった。
重く考える必要はない。軽く、楽しく、聴けばいい。ただ、聴いたあとに、ちょっとだけ人を見る目がやわらかくなる。そういう一冊だと、私は感じた。