※本ページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
見られているほど、見られていない
今朝、スポットライト効果というものを知った。人は自分の失敗や、ちょっとした身なりの乱れを、実際よりずっと多くの人に見られていると思い込む生き物らしい。実験では、気づいた人は予想の半分もいなかった。数字で示されると、なんだかほっとした。ずっと自分だけが引きずっている恥ずかしさだと思っていたから。SNSの投稿ひとつにも、同じことが働くらしい。ちょっとした言い回しのミスを、誰も気づいていないのに、自分だけが気にしている。
婚活の話を無性に聴きたくなったのは、たぶんそのせいだ。誰かと向き合う席で、変な沈黙が流れた記憶。あの間、相手はどう思っただろう。何度も思い出してしまう。特に、寝る前に。でも実際は、向こうはもう忘れているかもしれない。そう思ったら、「婚活マエストロ」を再生していた。
前のめりで進むヒロイン
主人公は、立ち止まらない人だった。迷いがないわけじゃない。それでも足のほうが先に出る。婚活という、失敗したら恥ずかしいと誰もが身構える場所で、一番動き回っているのが彼女だった。周りが息をのむような場面でも、次の一手をもう考えている。
巻き込まれる人たちは、たまったものじゃない。困った顔をされても、次の日にはまた違う作戦を持ってくる。聴いているこっちが恥ずかしくなる場面もあった。それでも、笑ってしまう。ページをめくる手が止まらない、という感覚を、耳のほうで味わった。家事の途中で、思わず手を止めた。
気にしているのは、自分だけ
この物語の芯は、たぶんそこにある。婚活という、他人の目が一番気になる舞台で、そんなに他人は見ていない、ということを体ごと証明していくヒロイン。理屈でなく、勢いで。転んでも、次の瞬間には走り出している。
今朝知ったばかりのスポットライト効果と、答え合わせをしているみたいだった。恥ずかしいと思っているのは、いつも自分だけ。周りは、もう次の話をしている。分かっていたはずのことを、物語の中で改めて突きつけられた気がする。
声の勢いに、引っ張られる
朗読は吉野貴大さん。テンポが速い。息継ぎの間まで、ヒロインの性格そのものだった。文字で読んだら流してしまうかもしれない台詞の弾みが、声だとまっすぐ飛んでくる。早口になる場面、少し声が上ずる場面。そのひとつひとつが、彼女の勢いを運んでくる。
洗い物をしながら聴いていたのに、途中で手が止まった。声のスピードに、こっちの気持ちまで引っ張られていく。ああ、こういう勢いのまま生きられたらいいのに。そう思った瞬間があった。結末がどうなるかは、聴く人の楽しみにとっておきたい。
聴き終えて、残ったもの
聴き終わって、婚活とは関係ない場面でも、この物語をふと思い出すだろうなと思った。誰かの目を気にして、足がすくむとき。今日知ったスポットライト効果の数字と、このヒロインの背中と、両方を思い出す気がする。
見られているほど、見られていない。分かっていても、忘れる。だから、こういう物語がある。次に誰かの前で恥ずかしいと感じたら、たぶんこの声を思い出す。